「学科教習」がオンライン化した時のメリットと問題点

ついに、ついに「学科教習」のオンライン化が進みそうなニュースが出ましたね。

現時点(2020年11月)で、スマホやパソコンで学科教習を受けることができるように検討中ということですね。

新型コロナの影響を受けた政策と思われますが、非常に素晴らしい取り組みだと思います。実際に私も教習所に勤めている際には、何度も

学科教習、オンラインにしてくれればメリットたくさんあるのになぁ〜!!!

という思いは抱いていました。しかし、警察がそれ(オンライン)を許してくれるとはとても考えていませんでしたので、絶対に無理だとも感じていました。

それが実現しようとしているのは素晴らしい・・・!

ということで、実際に学科教習がオンライン化した時に考えられるメリットや、起こるであろう問題点を簡単にまとめてみました。

NHKニュース
運転免許の「学科教習」 オンライン受講を導入へ | NHKニュース 【NHK】運転免許を取得する際に自動車教習所で受ける「学科教習」について、スマートフォンなどを使ってオンラインで受講できる仕組みが…
目次

「学科教習」がオンライン化された時のメリット

メリット1 学科教習のためだけに教習所に行く手間が省ける

自動車教習所の普通免許の教習は、技能+学科で構成されているのはご存知ですよね。

普通AT限定コースを例に上げていうと、技能31時限に対し、学科は26時限となっています。つまり、半分までは行かなくても全体の4割程度は学科教習が占めているということになりますね。

そして、ほとんどの教習生が「学科教習のみ」のために教習所に何度も足を運ぶことになります。特に高校生シーズンや夏休みなどの繁忙時期になると、技能(運転)の予約が取りづらくなり余計にその頻度は増えてきます。

移動のことなどを考えると、オンラインはかなり教習生にとってメリットがあるといえますね。

メリット2 学科教習のレベルが上がる・・かも

学科教習、それは教習所によっても、担当する指導員によっても全くレベルが異なるものです。学科教習を受講済みの人なら、次のような経験をしたことがあるかもしれません。

  • 教本をだらだら読むだけの学科教習
  • ほとんどの教習生が寝ている
  • 全然ためにならない学科教習

オンラインでの学科教習が可能になれば、学科教習の平準化が計られ、結果として学科教習のレベルが上がるかもしれません。

メリット3 教習所の負担の軽減ができるかも

オンライン化がされることで、教習所の業務の負担が減る可能性があります。

規模の小さい教習所には学科教習に対して次のような悩みを抱えている場合が多いです。

受講生が少人数(たとえ一人)でも、学科教習を行わなければならない

学科教習というのは、大人数で受講することを大前提として、基本的に単価が安く設定されているものです。つまり、少人数で学科教習を行なったとしても赤字となる可能性が高いのですね。(というか実際赤字でしょう)

オンライン化がどのように行われるかはこれからの課題と思いますが、例えば

  • 学科の数を減らして一度の受講生を増やせる
  • 録画の授業を基本として、質疑応答のみに教官が注力できる

などの費用的にも、労力的にもメリットが出てくる可能性が考えられます。

「学科教習がオンライン」で予想される問題点

予想される問題点1 対応できない自動車教習所が出てくる?

教習所業界というのは、他と比べても「遅れている」業界と思っています。南福岡など一部の革新的な教習所を除けば、10、20年以上やり方が変わっていないという教習所も少なくないでしょう。

そもそもPC自体をほとんど使用していないような教習所もチラホラ見受けられます。そんな状態で、オンラインの学科教習が開始されれば、当然ついて来れないところも出てくると思われます。

結局オンライン学科教習に関しても、教習所間の格差が発生する不安がありますね。

予想される問題点2 教習所のコストや負担増のみで終わる可能性

学科教習のオンライン化、非常に耳障りがいいです。しかし、実際どう転ぶかはお上の指示次第となります。オンラインは使いようによっては非常にメリットが出てきそうですが、ただ今までの教室で行なっていた学科教習をオンラインで中継する、というだけでは手間やコストが増えるだけとなります。

学科教習を撮影するための機材(PCなど)やネットワーク、オンライン学科のためのソフトウェアの購入などが考えられますね。

また、個人的に教習所のIT化をストップさせている原因と思っている「教習原簿」の存在があります。

(1) 教習原簿の作成
体系的な教習を行うとともに、教習生の管理を適切に行わせるために原則として教習生ごとに教習実績等を記録した教習原簿を作成させること。なお、短期間の場合であっても同様とする。

※自動車教習所業務指導の標準より

この教習原簿には、技能や学科教習の記録を事細かに記載していく必要があるのです。

  • 受講した日
  • 受講した教習の開始時間
  • 担当した指導員の印鑑

オンラインで受講してもらった教習生の記録を、手動で指導員や事務職員が印鑑を押していく。ちょっと変じゃないですかね。

まとめ

ということで、学科教習のオンライン化についてはメリットもありますが、問題点も多く出てきそうです。結局のところ、公安委員会の指示通りに教習所は行うしかないため、その指示次第と行ったところでしょうか。

オンライン学科教習がうまく行くことで、教習所のIT化、近代化が進むと素晴らしいのですが・・。

ちょっと個人的には失敗しそうな感じがしますね。

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